唯・祖父の書斎にそっとしまっておいたライブラリーから・・・・・・・

鉄道開通100年記念(昭和45年)

花 の 生 涯 を 終 る

憶い出の

 蒸 気 機 関 車 
 蒸 気 機 関 車 


【お詫びと訂正】
E10型の製造時期について誤りがありましたのでお詫びして訂正いたします。
写真の「E102」に大正3年製造とありましたが正しくは昭和23年製です大変失礼しました。
(昭和45年交友社発行「記録写真:蒸気機関車」より)
訂正2000/12/06
はじめに
♪♪汽笛一声新橋を♪♪・・・明治5年わが国に鉄道が開通してから、明治、大正、昭和と三代100年の長い間、”汽車ぽっぽ”の愛称で親しまれながら、ひたすら国の繁栄の先駆として、黙々と貢献を続けてきた蒸気機関車・・・時代のもとめにこたえて、機関車の型式も次々と変転を繰返し発達してきました。
なつかしいこの蒸気機関車も、昭和47年には国鉄第一線から姿を消す日が参ります。思い出の記念として、ぜひこの写真を永久に保存してください。

目次
□機関車の形式称号
 ・機関車の名称
 ・機関車の形式
 ・別表 車軸配置による機関車の名称

□蒸気機関車の発達一覧表
 ・幹線使用の旅客用機関車発達過程
 ・幹線使用の貨物用機関車発達過程

□機関車の仕様及び形状
■ 明治
 ・ 230型 タンク機関車1-B-1型
 ・ B50 型過熱テンダー機関車2-B型

■ 大正
 ・ 9600型 過熱テンダー機関車(俗称コンソリ)1-D型
 ・ 8620型 過熱テンダー機関車1-C型
 ・ C51型 過熱テンダー機関車2-C-1型

■ 昭和
 ・ C50型 過熱テンダー機関車1-C型
 ・ C53型 過熱テンダー機関車(3気筒)2-C-1型
 ・ C5343号 流線型過熱テンダー機関車2-C-1型
 ・ C11型 過熱タンク型機関車1-C-2型
 ・ D51型 過熱テンダー機関車1-D-1型
 ・ C58型 過熱テンダー機関車1-C-1型
 ・ C62型 過熱テンダー機関車2-C-2型
 ・ E10型 過熱タンク機関車1-E-2型

■ 外国製機関車
 ・ 明治04年 英国製 150型 タンク機関車 1-B型
 ・ 明治13年 米国製 義経号 テンダー機関車 1-C型
 ・ 明治19年 英国製 1850型 タンク機関車 C型
 ・ 明治22年 ドイツ製 60型 タンク機関車 B型
 ・ 明治31年 英国製 7800型 飽和テンダー機関車 1-C型
 ・ 明治35年 米国製 6400型 テンダー機関車 (俗称 スケネク) 2B型
 ・ 明治37年 英国製 2120型 タンク機関車(俗名 B6) C-1型

機関車の形式称号
□ 機関車の名称
機関車はその使用目的にしたがって旅客用、貨物用、および入換用に区別され、平坦線用と勾配線用によって区別される。
これら機関車の呼称、名称は車輪の配置、特殊構造に対する名称、使用蒸気の性質、および炭水車の有無を含んだものであらわしている。
車軸の配置は先軸を数字で動軸数は2,3,4,5になるにしたがいB,C,D,Eなる記号で、従軸数は数字であらわしたものを列記している。先軸あるいは従軸がない場合は0の数字は省略している。車軸配置は台枠1個ごとに定むるので、2台枠以上のときはこれを列記する。
例えば、2Bタンク機関車、1D1過熱テンダ機関車、2C1過熱テンダ機関車と呼ぶ。車軸の配置による機関車の称号を外国におけるものと併せ表示すれば第一表である。
□ 機関車の形式
現在、国鉄の機関車の形式は記号、および2位の数字から成立っている。
蒸気機関車は動軸数が2,3,4・・・・なるにしたがいB,C,D・・・・の記号を、電気機関車はこれにEを冠したEB,EC,ED・・・・の記号を、内燃機関車にはDを冠したDB,DC,DD・・・・の記号を用いる。
数字としては蒸気機関車のタンク機関車の場合10〜49を、テンダ機関車の場合は50〜99をいう。
電気機関車、および特殊機関車は最大速度65キロメートル/時以下のものに10〜49、最大速度65キロメートル/時以上のものに50〜99を用いる。
例えば、C53は動軸数が3であるテンダ機関車の一形式で、その第1輌目はC531、第20輌目はC5320となる。
EF52は動軸数6の旅客用電気機関車の一形式で、第1輌目はEF521で第35輌目はEF5235となる。
以上は現在の形式の呼び方であるが、明治時代には官有と私設鉄道において、各々外国から種々の形式の機関車を輸入していたので、形式称号も区々であった。
明治42年に一度形式称号が制定された。今はそれも改訂されているが、古い機関車の調査には必要な事であるから、当時の称号の大略を訳せば次のようである。
すなわち5000号未満タンク機関車、10000号未満をテンダ機関車、10000号以上を電気機関車とした。その内動輪の少ないものを番号の少ないものとし、動輪数の多いものを番号の大きいものにした。
例えば、タンク機関車で動輪軸四つのもの1000未満、六輪連結のものを1000〜4000八輪連結および10輪連結のものを4000〜5000とした。テンダ機関車では四輪連結は5000〜7000、六輪連結は7000〜9000の番号を用いた。
現在はこの形式を用いらないから古い機関車の呼称は、混同される場合がないとも限らない。

第一表
車軸配置による機関車の名称(◎=動輪)
車軸配置 国鉄 ホワイト式 名      称
前  ◎◎  後 B 0-4-0 フォーア・カップルド・ホイール・スイッチャー
◎◎○ B1 0-4-2 フォーア・カップルド・アンド・トレーリング・トラック
○◎◎ 1B 2-4-0 フォーア・カップルド・ホイール
○◎◎○ 1B1 2-4-2 コロンビヤ
○○◎◎ 2B 4-4-0 アメリカン
○○◎◎○ 2B1 4-4-2 アトランチック
○○◎◎○○ 2B2 4-4-4
◎◎ ◎◎ BB 0-4-4-0 マレット
○◎◎ ◎◎ 1BB 2-4-4-0 マレット
◎◎◎ C 0-6-0 シックス・カップルド・ホイール・スイッチャー
◎◎◎○ C1 0-6-2 シックス・カップルド・アンド・トレーリング・トラック
◎◎◎○○ C2 0-6-4 フォーア・カップルド・アンド・トレーリング・ボギー
○◎◎◎ 1C 2-6-0 モーガル
○◎◎◎○ 1C1 2-6-2 プレリー
○◎◎◎○○ 1C2 2-6-4
○○◎◎◎ 2C 4-6-0 テンホイーラー
○○◎◎◎○ 2C1 4-6-2 パシフィック
◎◎◎ ◎◎◎ CC 0-6-6-0 マレット
◎◎◎◎ D 0-8-0 エイト・カップルド・ホイール・スイッチャー
○◎◎◎◎ 1D 2-8-0 コソリデーション
○◎◎◎◎○ 1D1 2-8-2 ミカド
◎◎◎◎◎ E 0-10-0 テン・カップルド・ホイール・スイッチャー



蒸気機関車の発達一覧表
□幹線使用の旅客用機関車発達過程
年  代 形式 旧形式 圧力
s/cu
一軸上
最大重量t
動輪上
重量t
総重量
(炭水車を含む)t
開業当時
明治5年
5000 D1 9.8 9.86 19.61 43.39
明治10年頃 600 A8 9.8 10.16 19.59 33.95
日清戦争頃明治27年 5300 D5 9.8 10.21 19.91 42.36
日露戦争頃明治37年 6200 D9 11.3 10.26 20.01 53.87
国有直後明治40年 6400 D12 11.3 12.35 23.98 61.76
明治末期 6700 - 12.7 14.19 28.23 72.89
大正初期 8900 - 12.7 13.31 39.08 103.74
大正中期 C51 18900 12.7 14.22 42.19 110.50
昭和時代 C53 - 14.0 15.44 46.27 129.98

□幹線使用の貨物用機関車発達過程
年  代 形式 旧形式 圧力
s/cu
一軸上
最大重量t
動輪上
重量t
総重量
(炭水車を含む)t
開業当時
明治5年
150 A1 9.8 9.09 17.57 23.44
明治20年頃 600 A8 9.8 10.16 19.59 33.95
日清戦争頃明治27年 600 A8 9.8 10.16 19.59 33.95
日露戦争頃明治37年 2120 B6 11.3 13.51 40.07 49.16
国有直後明治40年 2120 B6 11.3 13.51 40.07 49.16
明治末期 2120 B6 11.3 13.51 40.07 49.16
大正初期 9600 - 12.7 13.41 52.73 94.85
大正中期 D50 9900 12.7 14.99 58.79 128.59
昭和時代 D51 - 14.00 14.00 56.00 123.00



機関車の仕様及び形状 (型名をクリックすると画像が見れます)
■ 明治 ■
230型 タンク機関車1-B-1型
要目 製造:明治35年 汽車会社 41輌製造
全長:9,727耗 巾:2,337耗 高さ:3,600耗
動輪径:1,250耗 シリンダー径:356耗 同行程:508耗
全重量:35.88トン 空車:28.2トン 動輪上:18.89トン
動力:267馬力 火床:1.11cu 圧力:10s/cu 石炭:1.14トン 水:4.5トン
附記 国産技術が漸く台頭し、汽車会社で量産した飽和蒸気機関車で初期のものは、力は弱いが前後に指導輪をもち、ジョイ式弁装置による安定機で、曲線通過も無難だった、北越、北海、幹線ヤードの入換えなどに使われたもので、汽車ぽっぽはなやかしき頃の可愛らしい機関車である。
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B50 型過熱テンダー機関車2-B型
要目 製造:明治44年 汽車製造会社・川崎車両会社 700型を過熱蒸気の使用に改造
全長:16,107耗 巾:2,591耗 高さ:3,785耗
動輪径:1,600耗 シリンダー径:430耗 同行程:610耗
全重量:74.22トン 空車:54.38トン 動輪上:27.52トン
動力:524馬力 火床:1.58cu 圧力:12s/cu 石炭:3.05トン 水:12.2トン
附記 明治の末期から昭和にかけて、輸送増加に伴い狭軌鉄道の限界内での性能向上が望まれ、6750型をモデルに改造されたが、2B型では粘着力が少なく、空転し易い機関車だった。この頃からシリンダーに給気の方式がピストン弁方式に変わっている、弁装置はワルシヤート式が主に採用された。
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■ 大正 ■
9600型 過熱テンダー機関車(俗称コンソリ)1-D型
要目 製造:大正2年 汽車製造会社・川崎車両会社 国鉄小倉工場 770両製造
全長:15,987耗〜16,551耗 巾:2,651耗 高さ:3,810耗
動輪径:1,250耗 シリンダー径:508耗 同行程:610耗
重量全:81.79トン〜94.85トン 空車:64.26トン〜69.34トン 動輪上:52.57トン
動力:980馬力 火床:2.53cu 圧力:13s/cu 石炭:2.54トン 水:9.1トン〜12.0トン
附記 興隆期の幹線貨物輸送に登場した、国産量産機関車だった。旅客列車用の8620型と並び造られた、内側給気構造や加熱蒸気方式が採用され、燃料節約機運の動きを強く見ることができる、強力な量産機であり、国内のみならず支那大陸にも大きな足跡を残したものである。
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8620型 過熱テンダー機関車1-C型
要目 製造:大正3年 汽車製造会社・川崎車両会社・日本車輌・日立製作所・三菱造船 672両製造
全長:16,756耗 巾:2,575耗 高さ:3,800耗
動輪径:1,600耗 シリンダー径:470耗 同行程:610耗
重量全:75.95トン〜81.25トン 空車:59.95トン〜57.97トン 動輪上:39.75トン
動力:640馬力〜685馬力 火床:1.63cu 圧力:13s/cu 石炭:3.05トン〜6.0トン 水:12.11トン
附記 国産旅客用として量産で郡を抜く最高の優周機だった、狭い火室だったが過熱装置、給水温〆器も取り付けられ扱い易く、故障も少なく、速度も出るし、かなり牽引力もあって重宝な存在となった、人間の能力にふさわしい設計だった、その故か車令50年を越したものも非常に多い、全国的に大きな足跡を残した、単に旅客用のみでなく貨物用にもラッセル除雪用にも、入換用にも、あらゆる部門で活躍した。
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C51型 過熱テンダー機関車2-C-1型
要目 製造:大正8年 汽車製造会社・川崎車両会社・三菱造船 289両製造
全長:19,983耗 巾:2,700耗 高さ:3,800耗
動輪径:1,750耗 シリンダー径:530耗 同行程:660耗
重量全:110.5トン 空車:79.68トン 動輪上:42.19トン
動力:985馬力〜1,052馬力 火床:2.53cu 石炭:8.13トン 水:17トン
附記 大正から昭和にかけて日本経済興隆期にふさわしい国産機で、主に東海・山陽など幹線輸送に大活躍をした。最初18900型からあとC51型となり、旅客用の花形であった。初めて本格的に電灯がつき、真空ブレーキから空気ブレーキに変化して性能もよく、故障も少なかったので量産され、各地に足跡を印した、御召列車用として超特急東京・大阪間8時間運転のスタートも、この機関車ではじめられた。
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■ 昭和 ■
C50型 過熱テンダー機関車1-C型
要目 製造:昭和3年 川崎車両会社・汽車製造会社・日本車輌・三菱造船・日立製作 35両製造
全長:16,779耗 巾:2,702耗 高さ:3,885耗
動輪径:1,600耗 シリンダー径:470耗 同行程:610耗
重量全:87.79トン 空車:64.64トン 動輪上:44.72トン
動力:658馬力 火床:1.61cu 圧力:13s/cu 石炭:6.0トン 水:13.0トン
附記 昭和初めに手頃な区間列車牽引用として、骨組みが棒台枠に変わった新しい設計で登場した、検修は一段と仕易くなった、だが幹線で輸送量が増加し、列車編成単位が大きくなって亜幹線用となった。
曲線通過に多少の苦難があったが、曲線がなければ扱い易いスマートな機関車でよく走った。
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C53型 過熱テンダー機関車(3気筒)2-C-1型
要目 製造:昭和3年 汽車製造会社・川崎車両会社 97両製造
全長:20,657耗 巾:2,940耗 高さ:4,000耗
動輪径:1,750耗 シリンダー径:450耗 同行程:660耗
重量全:129.98トン 空車:92.88トン 動輪上:46.27トン
動力:1,556馬力 火床:3.25cu 圧力:14s/cu 石炭:12トン 水:17トン
附記 昭和の初年に躍進輸送に対応して3気筒の強力な8200型が輸入され、これを改善設計された日本で最初の3気筒国産機関車として堂々進出し、東海山陽の幹線で特急・急行に使用され大活躍した。男性的な花形機だったが3気筒機構の特殊性と戦時減摩資材の不足に悩まされ短命に終った。
だが、1機の走行実績粁は200万粁をこえている。
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C5343号 流線型過熱テンダー機関車2-C-1型
要目 製造:昭和3年 汽車製造会社 後に国鉄鷹取工場で流線型に改造
全長:20,657耗 巾:2,940耗 高さ:4,000耗
動輪径:1,750耗 シリンダー径:450耗 同行程:660耗
重量全:133.4トン 空車:96.53トン 動輪上:46.5トン
動力:1,556馬力 火床:3.25cu 圧力:14s/cu 石炭:12トン 水:20トン
附記 昭和8年、東京-大阪間に超特急つばめ号が8時間運転で走ることになり、最初はC51型で発足したが牽引能力、炭水補給の無理から、C53型牽引に改まり、空気抵抗を減少するスマートな流線型に試作されたもので、国鉄梅小路機関区に配置されていた。
8/20

C11型 過熱タンク型機関車1-C-2型
要目 製造:昭和5年 川崎車両会社・汽車製造会社・日本車輌・日立製作 381両製造
全長:12,650耗 巾:2,830耗 高さ:3,890耗
動輪径:1,520耗 シリンダー径:450耗 同行程:610耗
重量全:68.06トン 空車:57.00トン 動輪上:39.09トン
動力:718馬力 火床:1.6cu 圧力:15s/cu 石炭:3トン 水:6.8トン
附記 短距離、小運転用として時代の要請にこたえたもので、前後進が極めて便利にできる高速で強いタンク機関車であった。通勤列車などにも使われ、京、阪、神間の短距離旅客列車用にも活躍した。
特徴は、自動脇路弁が使われたが、時にこの機能障害が起こると致命傷となった、また缶内注水器の繰出弁を経て、缶胴横の重見式給水温め装置を使った。
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D51型 過熱テンダー機関車1-D-1型
要目 製造:昭和13年 川崎車両会社・汽車製造会社・日本車輌・国鉄浜松工場 1,100両以上製造
全長:19,500耗 巾:2,936耗 高さ:3,890耗
動輪径:1,400耗 シリンダー径:550耗 同行程:660耗
重量全:125.10トン 空車:88.8トン 動輪上:57.65トン
動力:1,565馬力 火床:3.85cu 圧力:14s/cu 石炭:8.0トン 水:20.0トン
附記 昭和の興隆期に経済輸送の王座として大活躍をした、主要幹線を大量の貨物列車(1,200トン)を牽引し疾走した猛者だった。わが国経済の発展は、当時この機関車の運転区域に伸びたといえる、幹線を行き交う列車の前頭に貨物はD51、旅客はC53、C57、C51の姿が力強く、見られた。
10/20

C58型 過熱テンダー機関車1-C-1型
要目 製造:昭和13年 川崎車両会社・汽車製造会社 382両製造
全長:18,275耗 巾:2,780耗 高さ:3,980耗
動輪径:1,750耗 シリンダー径:480耗 同行程:610耗
重量全:100.2トン 空車:72.1トン 動輪上:40.52トン
動力:1,097馬力 火床:2.15cu 圧力:16s/cu 石炭:6トン 水:17トン
附記 大正末期に量産された板台枠の8620型の比し、昭和興隆期に量産された最後まで各所に活躍している優秀機である。
火床が広くなり、圧力が高く過熱化されるので力も強く、曲線通過にも従輪が増やされたのでグンと安定度が高まった。
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C62型 過熱テンダー機関車2-C-2型
要目 製造:昭和23年 川崎車両会社・汽車製造会社・日立製作 49両製造
全長:21,475耗 巾:2,936耗 高さ:3,980耗
動輪径:1,750耗 シリンダー径:520耗 同行程:660耗
重量全:143トン 空車:97.75トン 動輪上:48.6トン
動力:1,963馬力 火床:3.85cu 圧力:16s/cu 石炭:10トン 水:25トン
附記 国産最大の機関車で、且つ実現した最後のSLとなった、近代技術が結集された最強のもの、あらゆる部分に電気溶接が施され、自動給炭器が取付けられ、自動列車停止装置、屋根に信号炎管迄取付けられた、従って機器の取り扱いが複雑になり、長大にして高速な列車の安全を護るために人間能力の限界かに思われた。
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E10型 過熱タンク機関車1-E-2型
要目 製造:昭和23年 汽車製造会社
全長:11,427耗 巾:2,692耗 高さ:3,787耗
動輪径:1,250耗 シリンダー径:533耗 同行程:610耗
重量全:65.27トン 空車:52.22 動輪上:62.06トン
動力:886馬力 火床:2.23cu 圧力:12s/cu 石炭:1.78トン 水:7.3トン
附記 輸送量の増大に伴い、特に勾配線のネックを解消するため登場した、粘着力の強い5輪連結タンク機関車でその生い立ちは、明治45年独マツファイ、ロコモーチーブ社より輸入の4100(E)型に指導輪を加えて4110型とし、曲線通過をたやすくし、米沢や、人吉附近などの1,000分の33.3上り勾配線の輸送力を強化させ、どんな坂でもグングン登る頼もしいものだった。
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■ 外国製機関車 ■
英国製 150型 タンク機関車 1-B型
要目 製造:明治4年 英バルカンファンドリー社
全長:7,606粍 
動輪径:1,321粍 シリンダー径:305粍 同行程:457粍
重量全:23.5トン 動輪上:18トン
動力:圧力:9.8s/cu
附記 この機関車はチョン髷を知っている。
新橋、横浜間の汽笛一声をひびかせたもの、後年の修理、変形もあるが本質的なものはそのまま、細長い朝顔煙突、四角な窓、小さな単音の汽笛狭い煙室とその扉、高い蒸気溜、不釣合いな砂箱、石炭は機関室の中に積込まれ、乗務員は立ちん坊、それでも日本人が運転できるようになったのは7年後の明治12年、当時の平均時速28.7粁
(1升の米代5銭、運賃上等1円12銭、中等75銭、下等37銭5厘)
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米国製 義経号 テンダー機関車 1-C型
要目 製造:明治13年 米ポーター社
全長:12,473粍 巾:2,133粍 高さ:3,380粍
動輪径:914粍 シリンダー径:305粍 同行程:406粍
重量全:29.9トン 空車:21.8トン 動輪上:13.8トン
動力:圧力:7.7s/cu 石炭:1.5トン 水:3.0トン
附記 微笑ましい化粧煙突、カウキャッチャー優雅な鐘、北海道の熊も笑いながら逃げたようなスタイルの妙、幌内の小樽、札幌間開通で、新しい石炭エネルギーの開発を目指して輸入されたもので、炭水をエンジンと分離したテンダー機関車の始めで、姉妹機に弁慶号、比羅夫、静、大勝等がある。国鉄鷹取工場のは、本物の義経の骨を組込んで苦心の復元に成る義経号がいる。
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英国製 1850型 タンク機関車 C型
要目 製造:明治19年 英ダブス社、35両輸入
全長:9,118粍 巾:2,413粍 高さ:3,658粍
動輪径:1,220粍 シリンダー径:381粍 同行程:559粍
重量全:41.53トン 空車:32.63トン 動輪上:41.53トン
動力:264馬力 火床:1.1cu 圧力:10s/cu 石炭:1.53トン 水:4.5トン
附記 1800型(明治14年、キットン社)の優秀性に酷似し、明治初・中期の優秀機関車であり、大正末期迄は盛んに活躍した。勾配線の難所をきりぬけるための強力配慮の設計で当時1800型、1850型の輸送の花形であった。
砂箱が第一動輪とデッキと機関室後部にあった。3動輪と撒砂で強力な性能を発揮したが、曲線通過に気を使ったものでである。
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ドイツ製 60型 タンク機関車 B型
要目 製造:明治22年 独ホーヘンツオーレルン社 7両輸入
全長:6,927粍 巾:2,264粍 高さ:3,314粍
動輪径:1,250粍 シリンダー径:300粍 同行程:500粍
重量全:23.58トン 空車:18.70トン 動輪上:23.58トン
動力:圧力:10s/cu 石炭:0.91トン 水:3.3トン
附記 山陽鉄道時代にドイツから輸入されたもので、2動輪に全重量が支えられ、全長も短かく、小ぢんまりして、新しいワルシヤート式弁装置を備へ、小柄で軽快に、前後進し「りす」のように走り廻った。砂箱が蒸気溜の前にあり、全重量は軽いがブレーキがよくきくので、タンクに満水して制動をかけると、マンホールの蓋を持ち上げ水が飛び出す場面もあった。
白い煙の尾をひいて、大正末期の駅の構内を西へ東へとんでゆくこの機関車は、茶目っ気たっぷりな活躍ぶりだった。
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英国製 7800型 飽和テンダー機関車 1-C型
要目 製造:明治31年 ノウースブリティッシュ社 6両
全長:15,500粍 巾:2,438粍 高さ:3,658粍
動輪径:1,220粍 シリンダー径:432粍 同行程:559粍
重量全:70.99トン 空車:53.84トン 動輪上:36.33トン
動力:約360馬力 火床:1.49cu 圧力:12s/cu 石炭:10.2トン 水:3.3トン
附記 明治の初めにバルカンファフンドリー社が造ったC型テンダー機関車以来5000〜6000台番号の2動輪B型機関車で賄われていたが、明治中期の興隆期に勾配線輸送の強化と長距離運転対策としてC型が重視登場し、タブス、ボールドウィン、スケネクタデー社などによる7200、7500、7550、7850型が各所で造られ輸入され、山陽、九州、関西鉄道などで、活躍したもので曲線勾配の多い日本の鉄道の動力車試練の時代のものだった。
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米国製 6400型 テンダー機関車 (俗称 スケネク) 2B型
要目 製造:明治35年 アメリカンロコモチーブ社(スケネクターデー工場) 30両輸入
全長:14,887粍 巾:2,113粍 高さ:3,671粍
動輪径:1,520粍 シリンダー径:406粍 同行程:610粍
重量全:62.49トン 空車:45.53トン 動輪上:23.94トン
動力:圧力:11s/cu 火床:1.49cu 石炭:9.1トン 水:2.84トン
附記 弁慶、義経(米国製)の当時からの流れがよくわかるものだが、高速のみに重点がおかれて粘着力が少なく、空転に弱い機関車だった、指導輪が2軸になって、曲線通過は安全だったが、重い車両を牽引すると、俗に「スケネク」が頭を振ると話題になった、また軽い客車をひくと「カランコロン」とのんびりした連棒の打音が聞かれた。
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英国製 2120型 タンク機関車(俗名 B6) C-1型
要目 製造:明治37年 英タブス社 英ノウースブリティッシュ社 263両輸入
全長:10,339粍 巾:2,438粍 高さ:3,813粍
動輪径:1,250粍 シリンダー径:406粍 同行程:610粍
重量全:49.87トン 空車:40.69トン 動輪上:36.83トン
動力:306馬力 火床:1.31cu 圧力:11s/cu 石炭:1.9トン 水:7.8トン
附記 明治中期の花形で両数も多く、各地に足跡を残す、車輪の内側に弁装置機構をもち、給油、保守に苦しんだ、石炭焚殻受箱が無理な構造でもあり、掻(かき)出しにも苦労があった、力の強い小型機関車で、長い編成でも巧みなハンドルマンの操作で、易々と引き出してゆく驚異の猛者であった。通称B6の愛称で親しまれていた。
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